スーパーなどで「有機」という言葉や「オーガニック」という言葉を目にする機会が増えました。
「自然にやさしい」「体にいい」というイメージの「有機」や「オーガニック」ですが、どのような基準でこの言葉が使われているのでしょうか。
そして、オーガニックは私たちの健康だけでなく、社会や自然環境とも密接なかかわりを持っています。
今回はオーガニックと、それを取り入れる目的や環境問題との関係も見ていきましょう。
オーガニックとは
オーガニックの語源は、「Origin」で、 「生命の源」「物事の根本への追求」「有機的なつながり」という意味合いがあります。
日本語では「有機」「有機栽培」と同じ意味で、一般的には「化学肥料や農薬、遺伝子組換え技術を使わずに、有機肥料で農産物を育てる農法」のこと。
水、土、太陽、生物など自然が持つ本来の力を活かした農林水産業や加工方法のことを指します。
日本の有機JAS規格では、農薬を使用しなければ農産物に重大な損害が生じる危険があり 、やむを得ない場合に限り有機JAS規格で認めている農薬を使用することができます。
日本のオーガニック認証「有機JAS認証」
生産者が有機の基準に基づいて生産したものであることを、第三者機関が証明したものが有機認証です。
日本では2000年から農林水産省がオーガニックの認定を行っていて、認定された農産物や加工食品には「有機JASマーク」が付けられます。
認証を取るためには、厳密に定義された条件を満たす必要があり、認定がないものは「有機」「オーガニック」などの表示や、これと紛らわしい表示を付すことは法律で禁止されています。
オーガニックは食材だけではない
オーガニックや有機と聞くと、つい野菜などの食材を連想しがち。
食材は間違いではないですが、食材以外でもオーガニックの商品はあります。
例えば、コットンのような繊維、化粧品や日用品にまつわるものなど、育てられた作物だけでなく、加工の段階で化学物質・添加物を用いない様々なものが対象となっています。
オーガニックと環境問題の関係性
オーガニックの食品は、元々は環境負荷低減が目的で作られていることをご存知でしょうか。
実際に、農林水産省のHPでも「環境への負荷をできる限り少なくする方法で生産された食品」であると言われています。
つまりオーガニック商品とは 、環境の負担を極力減らすことを目的として 持続可能な方法で育てられたもの、もしくはその加工品になります。では、どのように環境にいいのでしょうか。
オーガニックは地球温暖化の緩和に貢献
2011年、国連食糧農業機関(FAO)は、地球温暖化の緩和と適応に貢献する食システムはオーガニックであると言及していて、様々な学術論文も発表されています。
有機農業では、化学肥料の代わりに、緑肥、堆肥、有機質肥料などが活用されます。
その他にも、オーガニックで温室効果ガス排出量削減が期待できることもわかってきました。有機農業で食料が生産された場合は、石油由来の化学肥料や農薬の使用を制限するので、化石燃料の消費を減らしCO2排出量を抑制することが可能です。
また、比較調査によると、エネルギー使用量の45%カットに繋がることがわかっています。
このように、有機農業は地球の温暖化の緩和に貢献するのです。
オーガニックは生物の多様性にも貢献
農地だけでなく、周辺の自然環境との調和を図ることで、生態系のバランスを崩さないように配慮する手法がオーガニックです。
石油由来の化学肥料や農薬の使用を制限することで、その周囲の植物や昆虫にやさしい環境ができます 。また、土壌から川へ流れ出て、魚やプランクトンに与える影響も小さくなります。
それゆえ、オーガニックの農地が増えることで、森林や水源を守るために土地の長期的な管理を重視し、生態系の保全にも貢献しています。
関わる人すべてに公正な取引を
オーガニックが依拠すべき基本法則の1つに「公正」ということがあります。
農業者も労働者も、加工・流通・消費などどの過程においても関わる全ての命が公正(フェア)な関係であることが掲げられています。
これによって、途上国の生産者と先進国の消費者が対等な立場で取引を行うことをサポートできます。
最近では、一般的なスーパーなどでも、有機認証マークがついた食品を見かけることがあります。すべては難しいとしても、少しずつ日々の食事をオーガニックに切り替えてみましょう。